RF収録

本当に使えるかどうか?無線LANルータを収録&解析してみました

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本当に使えるかどうか?無線LANルータを収録&解析してみました

狭帯域RFキャプチャーシステムが本当に役に立つものなのか調べてみました。

弊社にある市販品の無線LANルータとクライアントでやりとりしている電波を収録し、解析を行いました。解析はNI製無線LANツールキットを使用してEVM測定を行います。

測定環境

270cmの作業台上に、ノートPCとルータを設置しこの2台の間で信号をやりとりします。

左側にあるルータとその直前にアンテナを配置し、アンテナのケーブルをUSRPとスペアナに分岐して収録と波形観測を同時に出来るようにしています。

USRPが受信した信号はIQ分離されてノートPC送られ、SSDに保存されます。

図. 無線LAN収録&解析測定環境の図
無線LAN集録&解析測定環境の図

右側にあるのがデータの送信側クライアントです。
ルータに802.11nで接続した後、iperfを使ってルータに対してUDPをデータ送信し続けますので、ルータから連続的に信号が出力されます。

なぜ20MHz BWで集録?

解析側ソフトウェアが必要とするデータレートが、解析する帯域幅の倍のレート(例:20MHz BW = 40Msps)が必要であるためです。USRPは最大40MHz BW(8bit集録時 – IQレート 50M)が集録上限帯域幅であるため、20MHz BWの集録を行いました。

なお8bit 50M IQレート(50M*2=100MB/s, 800Mbps)の集録は、USRP-ノートPC間のギガビットイーサネットの上限近くのスループットです

集録する

クライアント側の設定

まずクライアント側が20MHz BWで接続するように、無線LANチップのプロパティで2.4GHz時のチャネル幅を20MHzに固定します。

図. クライアント側 チャネル幅を20MHzに固定
クライアント側 チャネル幅を20MHzに固定

クライアント側PCがルータに接続したら、iperfでUDPデータをルータに対して送信し続けます。これでバーストデータが送信されるはずです。

図. iperfでUDPデータを連続送信
iperfでUDPデータを連続送信

 

受信波形を確認する

アンテナから分配したスペアナで見てみると、このような20MHz BWスペクトラムが表示されています。

図. 電波を受信しているアンテナの写真
電波を受信しているアンテナの写真

図. 受信波形を表示するスペアナスクリーンショット
再生波形をスペアナで観測

次にUSRPで受信した波形を見てみます。

図. USRPで受信しPCでスペクトラムを表示している写真
USRPで受信しPCでスペクトラムを表示している写真
※撮影したタイミングが悪く、この画像ではつぶれたスペクトラムが見えています。

こちらが収録するRFキャプチャーソフトウェア。
スペアナとほぼ同じ波形が表示されているのがお分かりになるかと思います。
USRPからギガビットネットワーク経由で受信したIQデータを表示しつつ、ファイルに保存します。

図. RFキャプチャーソフトウェアでスペクトラムを表示しているスクリーンショット
RFキャプチャソフトウェアでスペクトラムを表示しているスクリーンショット

ではこれを保存します。

今回は1フレームのEVM計測を行うため、収録データは1フレーム分で十分です。集録時間指定機能を使い、集録時間を1秒間に設定して”Record”ボタンを押します。

図. RFキャプチャーソフトウェアで集録時間を指定するスクリーンショット
RFキャプチャソフトウェアで集録時間を指定するスクリーンショット

 

図. RFキャプチャーソフトウェアで集録開始するボタンのスクリーンショット
RFキャプチャソフトウェアで集録開始するボタンのスクリーンショット

 

“Record”ボタンを押すと指定した時間収録して自動的に停止します。

収録時間を指定しない場合は、自分で”Stop”ボタンを押して収録を停止します。もちろん指定時間収録中でも”Stop”ボタンを押して収録を停止することも出来ます。

さて収録が完了です。任意に指定できるデータフォルダに、ファイルが作成されました。

図. RFキャプチャーソフトウェアで収録されたファイルのスクリーンショット
集録したデータファイル

収録したファイルをデータビューアで開いてみると、信号が収録されています。

図. RFキャプチャーソフトウェアで収録したファイルの内容をデータビューアで確認している
RFキャプチャソフトウェアで集録したファイルの内容をデータビューアで確認している

 

解析する

では解析のためにデータビューアから1フレーム分信号を切り出します。
切り出したいフレームを表示して、このボタンを押してから範囲選択するとファイルに切り出すことが出来ます。

図. データビューアで範囲切り出しを行うボタンを押すスクリーンショット
データビューアで範囲切り出しを行うボタンを押すスクリーンショット

範囲を選択すると・・・指定した範囲をファイルに保存することが出来ます。

図. データビューアで範囲切り出しを行っているスクリーンショット
データビューアで範囲切り出しを行っているスクリーンショット

ファイル保存ダイアログが開いて、指定した範囲をバイナリファイルに保存できます。

図. 切り出した範囲を保存するファイルダイアログ
切り出した範囲を保存するファイルダイアログ

次にドルフィンシステム製無線LAN1フレーム解析ツール(powerd by NI無線LANツールキット)を使用して、読み込ませてみると・・・

でました!EVM -24dBm。

市販の無線LANルータの電波をキャプチャーして解析することが出来ました。

図. 切り出したフレームのデータを無線LANツールキットで解析出来た図
切り出したフレームのデータを無線LANツールキットで解析出来た図

 

測定器との比較

弊社で所有しているNI PXIe-5646Rは、50M-6GHz 200M BWを測定できる測定器で、PC上のソフトと組み合わせてスペクトラムアナライザや無線LAN/LTEの解析などが実現できます。

今回はNI無線LANツールキットを使用して、リアルタイム測定を行ってみます。

※この測定ではストレージに収録せず受信信号をオンメモリで解析します。ただしソフトウェアで解析するので受信した全フレームを解析するのではなく、受信→解析→受信→解析→と間欠的ベストエフォートで解析します。

結果はEVMは-23~-28dBm近辺でした。

USRP 8bitで-24dBm出ておりますので、USRPと測定器の大差はない結果になりました。

図. 無線LANツールキット ソフトフロントパネルでEVM測定の図
無線LANツールキット ソフトフロントパネルでEVM測定の図
※ EVM値などは使用環境・測定環境によって変動いたします。この値を保証するものではありません。

 

まとめ

今回は、

  • 市販の無線LANルータを使って
  • USRP 8bit 40M BWで収録し
  • EVM解析

を行いました。

結果は、測定器と同じくらいのEVM -24dBを得ることが出来ましたので正しく収録されていると言ってよいでしょう。

USRPを使用した狭帯域RFキャプチャーシステムを使用すれば、無線LAN以外にもお客様の環境で必要とする電波の収録を簡単(3ステップ)に安価に行うことが出来ます。

また収録したデータの解析も行うことが出来ました。

ドルフィンシステムでは収録システム以外にも、信号処理の受託開発を行っております。

収録したデータを解析したいというご要望がありましたら、是非ご相談ください。

 

受託開発は高い!というイメージがあるかもしれません。そして実際、多くの場合高いものになります。

だけど!

弊社で開発した経験がある通信方式である場合、大幅にコストを抑えて実現できる可能性もありますので、まずはお問い合わせください!

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