IQレートとは?
USRPなどのナショナルインスツルメンツ製品でRF収録や再生を行う際に、IQレートという値を設定します。
この値はADCやDACに設定するサンプリングレートに似ていますが、正確には、
サンプリングレートではなく
「サンプリングレートにデシメーション処理の結果を加味した出力レート」
をIQレートと称しており、収録や再生時にはこの値を設定します。
IQレートは、帯域幅に1.25を乗算した値であり、USRPやナショナルインスツルメンツ製品のデジタルダウンコンバータに対して設定するレートになります。
例)
80MHz BWを収録する場合 : 80MHz BW * 1.25 = 100MS/s
ナイキスト定理により、信号帯域幅の倍でサンプリングを行うため80MHz BWであれば通常160MS/s以上でサンプリングをする必要があります。
NI USRP-2922等では、ダイレクトコンバージョンしたIQ分離後のベースバンド I/Qそれぞれに対して100MS/sでサンプリングをします。これは、帯域幅 80MHz BW の信号は、IQ分離でそれぞれ、40MHz BW になっているため十分なサンプリングレートです。
そして100MS/sでサンプリングした後、デジタルダウンコンバータにおいてデシメーションや LPF などの処理が行われた後、PCに出力されます。
このデジタルダウンコンバータの LPF は、サンプリング周波数の 0.4 倍にカットオフが設定されています。サンプリング周波数 100MHz にたいしては、40MHz の通過帯域となるのですが、IQ を複素で考えた場合、合計の 80MHz (サンプリングレートの 0.8倍)が通過帯域となります。逆に、通過させたい帯域が決まれば、その5/4倍 (=1.25倍) がIQ のサンプリングレート、IQレート になります。
この “IQ レート” がそのまま “PCに出力させるレート”なので、
IQレート = “デジタルダウンコンバータが出力するレート” = 帯域幅 * 1.25
PCに出力させるレート = IQ レート * 4byte (IとQそれぞれ16bitでサンプリング)
となります。
纏めますと、IQレートとは「サンプリングレートにデシメーション処理の結果を加味した出力レート」となります。帯域幅からIQレートを導き出す係数は1.25となります。
図
参考
USRP-RIO1台あたりの収録・再生可能帯域幅について
http://www.dolphinsystem.jp/available_tranferrate_per_usrprio/
収録再生可能な帯域幅はどうやって決まる?
http://www.dolphinsystem.jp/recordable_bandwidth/
高速RF/IFデータ保存にDDCを使用
http://www.ni.com/newsletter/50100/ja/
Bandwidth Capability of USRP Devices
https://www.ettus.com/kb/detail/usrp-bandwidth