開発事例

任意の信号を連続的に送信し、任意のタイミングで送信間隔に合わせて収録する

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「USRP RIOシリーズ」 : RFレコーダー・キャプチャ

概要

ドルフィンシステムでは無線通信の先進技術の研究開発のお手伝いをする機会が多くあります。
この先進分野では5G等の仕様化された無線システムをそのものを構築することは少なく、これからの通信を研究するため「まだ仕様化されていない事」を研究するための実験が多いです。
これらの実験はソフトウェア無線機で行いますが、その内容の中にはとてもシンプルなものもあります。

ある実験で開発したシステムの要件は以下の通りです。
1. 指定したサンプル数の信号を100MHz BWで連続して出力したい
→例) 1Mサンプルの信号を連続して繰り返し送信する

2. 任意のタイミングで受信も行いたい
3. 受信するサンプル数は送信サンプル数と同じ
→例) 送信信号が1Mサンプルなら1Mサンプル受信する

4. 受信タイミングは送信サンプル数の間隔で行いたい
→例) 送信信号が1Mサンプルで送信していたら、受信も1Mサンプルの間隔で受信したい(下図参照)

5. 受信のタイミングは1サンプルのズレもなく受信したい

連続送信だけならSGのArb機能を使えば良いですが、受信も行うとなるとSGだけでは対応できません。こういう時にソフトウェア無線機の出番です。

実現方法

この要件を実現するためには単純に考えれば、ソフトウェア無線機に対して連続して送信データを与え、ソフトウェア無線機から常に受信データを受信していれば実現可能です。
ただし帯域幅によっては、転送が間に合わないかCPU使用率によっては不安定な動作になるかも知れません。

この案件では「安定的に送受信が可能」であることを目指し以下の仕様で開発しました。

1. ソフトウェア無線機は、NI USRP-2954Rを使用する
2. 送信信号はUSRPのDRAMに書き込み、DRAM上のデータを連続送信する。
3. 連続送信開始と同時に受信も開始する。
3. ソフトウェアは常時受信しておいて、受信開始指示があったらそのサンプルを保存する
→今まで受信したサンプル数を数えておくのでズレなく一定の間隔で受信が可能。

結果

USRPの送信ポートと受信ポートを同軸ケーブルで接続しループバックし、送受信しました。
下図は、7回分受信したデータを並べて表示したものです。
任意のタイミングで受信を行いましたが毎回の受信毎にズレることなく受信できていることが分かります。

このシステムを納品したお客さまは、このシステムを使用して新しい通信に関わる基礎研究に励んでおられます。

お問い合わせ

ドルフィンシステムでは、USRPを初めとしてソフトウェア無線機の実装経験が豊富です。
Best Practiceや良い点、ハマりどころ等なども熟知しており、ソフトウェア無線機 USRPを使用した実験システムは短期間で納品可能です。
ただ混み合っている事がありますので、事前にご連絡ください。

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